NO168【資金繰りが苦しい時の対策 経営改善9】

2025/03/21 10:00:00 - By zaimclinic
資金繰り改善 NO3
資金繰り改善 NO168【資金繰りが苦しい時の対策 経営改善9】

 

【資金繰り改善のための「経営者のマインドセット」】

 

1. はじめに

企業経営において、資金繰りの問題は多くの経営者が直面する大きな課題です。特に中小企業やスタートアップにとって、資金の流れが滞ることは事業の継続を左右する重大なリスクとなります。

資金繰りの改善というと、多くの経営者は「売上を増やす」「コストを削減する」といった具体的な施策を思い浮かべるかもしれません。しかし、資金繰りの根本的な改善には、単なるテクニック以上に「経営者のマインドセット」が重要です。どのような考え方を持つかによって、キャッシュフローの健全性が大きく変わってくるからです。

本記事では、資金繰りが悪化する企業の共通点を明らかにし、経営者が持つべき正しいマインドセットについて解説します。資金繰りを安定させ、持続可能な経営を実現するための考え方を学び、実践していきましょう。

 


 

2. 資金繰りが悪化する企業の共通点とその根本原因

資金繰りが悪化する企業には、いくつかの共通点があります。これらの問題を認識し、根本的な原因を理解することが、資金繰り改善の第一歩です。

売上至上主義で利益を軽視する

多くの企業が「売上を伸ばせばすべて解決する」と考えがちですが、これは大きな誤解です。売上が増えても、利益率が低かったり、回収サイクルが長かったりすると、資金繰りが悪化する可能性があります。重要なのは「売上の増加」ではなく「健全な利益を確保すること」です。

キャッシュフローよりも会計上の利益を優先する

会計上の利益が出ているからといって、資金繰りが良いとは限りません。例えば、売掛金の回収が遅れたり、在庫が過剰に積み上がっていたりすると、帳簿上は黒字でも実際のキャッシュフローが苦しくなるケースがあります。

長期的視点を欠いた経営判断

短期的な利益を優先し、資金繰りを犠牲にする経営判断をしてしまうと、後々資金ショートに陥るリスクが高まります。例えば、「今期の利益を増やすために無理な設備投資をする」「安易に借入を増やして資金繰りを補填する」といった判断は、長期的に見て資金繰りを悪化させる要因となります。

「なんとかなる」という甘い見通し

資金繰りが苦しくなったとき、「いずれ売上が上がる」「取引先が支払ってくれるはず」といった楽観的な考えで対応を先延ばしにする企業は少なくありません。しかし、資金繰りの問題は時間が経つほど悪化する傾向にあります。適切なキャッシュフロー管理ができていないと、気づいたときには手遅れになることもあります。

 


 

3. 資金繰りを改善するための経営者のマインドセット

資金繰りを改善するためには、単にコスト削減や売上向上といった施策だけでなく、経営者自身の考え方を根本から変えることが不可欠です。以下に、資金繰りを安定させるために必要なマインドセットを解説します。

 

キャッシュフロー経営を最優先に考える

資金繰りが苦しくなる最大の原因の一つは、「利益」だけを見て、「キャッシュフロー」を軽視することです。

例えば、売上が増えていても、取引先の支払いサイトが長く、売掛金の回収が遅れている場合、手元の現金は減少します。この状態では、新たな仕入れや支払いが滞り、資金ショートに陥る可能性があります。

キャッシュフロー経営とは、「利益」よりも「現金の流れ」を重視する経営のことです。

意識すべきポイント

  • 売掛金の回収期間を短縮し、支払いサイトを適正に管理する
  • 会計上の利益よりも、手元にある現金の増減を重視する
  • 月次でキャッシュフロー計算書を確認し、現金の流れを可視化する

 

「利益」よりも「キャッシュ」を意識する思考法

経営者の多くが、損益計算書(P/L)の利益を重視しますが、資金繰りの安定には貸借対照表(B/S)やキャッシュフロー計算書(C/S)の理解が不可欠です。

特に「黒字倒産」と呼ばれる現象は、会計上は利益が出ているのに、現金が足りなくなってしまうことを指します。これを防ぐためには、「利益」よりも「キャッシュが増えているかどうか」に意識を向ける必要があります。

経営者が持つべき視点

  • 「利益が出ている=安全」ではなく、「手元の現金が十分にあるか」を判断基準にする
  • 損益計算書だけでなく、キャッシュフロー計算書を必ずチェックする
  • 現金が増える経営戦略(先払い契約、サブスクリプション型ビジネスモデルなど)を検討する

 

未来を見据えた財務計画の重要性

資金繰りが悪化する企業の多くは、短期的な経営判断に偏りがちです。しかし、健全な資金繰りを維持するには、3か月後、6か月後、1年後のキャッシュフローを見越した計画が必要です。

経営者は「資金ショートしない未来」を設計しなければなりません。

財務計画のポイント

  • 未来の資金繰りシミュレーションを行う
  • 突発的な支出(税金の支払い、賞与、設備投資)を事前に計画する
  • 必要に応じて早めに金融機関と相談し、資金調達の準備を整える


例:シミュレーションの簡単な流れ

  1. 毎月の固定費(人件費、家賃、ローン返済)を把握する
  2. 売掛金の回収予定と支払い予定を一覧化する
  3. 3か月後・か月後の資金残高を予測し、不足する場合は対策を立てる

 

コスト管理と無駄の排除を徹底する

資金繰りが苦しいとき、多くの企業は「売上を伸ばすこと」に意識を向けがちですが、売上の増加には時間がかかることが多いため、まずは「コスト管理」を徹底することが即効性のある対策となります。

無駄なコストを排除し、資金繰りを改善することが重要です。

コスト管理のポイント

  • 固定費の見直し(オフィス賃料、人件費、光熱費)
  • 無駄な支出を削減(不要なサブスクリプション、使っていないシステム)
  • 投資対効果を見極める(広告費やマーケティング費用の最適化)

特に固定費の削減は、短期間で資金繰りを改善できる効果的な手段です。例えば、オフィスを縮小してコストを抑える、業務の一部を外注化して効率を上げるなどの方法が考えられます。

 


 

4. 実践的なアクションと継続的なマインドセットの強化

資金繰りを改善するマインドセットを理解したら、次に重要なのは実際の行動です。考え方を変えるだけでなく、日々の経営に落とし込むことで、資金繰りの安定を実現できます。ここでは、具体的なアクションと、継続的にマインドセットを強化する方法について解説します。

 

定期的なキャッシュフロー管理の習慣をつける

「資金繰りが苦しくなってから対策を考える」のでは遅すぎます。

そのため、定期的にキャッシュフローを管理し、未来の資金繰りを予測する習慣をつけましょう。特に重要なのは、「短期(1か月先)」と「中期(3〜6か月先)」の資金状況を把握することです。

具体的なアクション

  • 毎週・毎月のキャッシュフローをチェックする
  • 1か月・3か月・6か月先の資金繰りシミュレーションを行う
  • 資金不足のリスクがある場合、早めに対策を考える

キャッシュフロー管理をシンプルにする方法

  • エクセルやクラウド会計ソフトを活用し、資金の流れを見える化する
  • 銀行口座をまとめ、資金の管理を一元化する
  • 売掛金・買掛金の管理表を作成し、支払いと回収のズレを把握する

 

金融機関との良好な関係を築く

資金繰りの改善には、金融機関との関係構築も欠かせません。資金が本当に必要になったとき、銀行からの信頼があればスムーズに融資を受けられます。

金融機関は「急に資金が必要になった企業」には慎重になります。 逆に、日頃から情報を共有し、良好な関係を築いている企業には前向きに対応してくれることが多いです。


具体的なアクション

  • 定期的に金融機関と面談し、会社の状況を報告する
  • 直前で融資を申し込むのではなく、事前に相談しておく
  • 決算書の内容をしっかり理解し、説明できるようにする

 

経営の透明性を高め、社員にも財務意識を持たせる

資金繰りの改善は、経営者だけの課題ではありません。社員一人ひとりが財務意識を持ち、経費の削減や売上向上に貢献することが大切です。


具体的なアクション

  • 社員向けに「キャッシュフローの重要性」を伝える勉強会を実施
  • 売上やコスト管理の目標を共有し、財務意識を持たせる
  • 社員に「コスト意識」を持たせるためのインセンティブ制度を導入


例えば

  • 「不要な経費を削減した分をボーナスに還元する」
  • 「原価率を下げる施策を考えた社員を評価する」

といった形で、資金繰り改善に貢献する仕組みを作ることも有効です。

 

成功している企業のマインドセットを学び、取り入れる

資金繰りを安定させている企業の経営者は、共通して「キャッシュファースト」の思考を持っています。成功事例を学び、参考にすることで、自社の経営に役立てることができます。


具体的なアクション

  • 資金繰りが上手な企業の事例を研究する
  • 経営者向けの勉強会やセミナーに参加し、最新の財務戦略を学ぶ
  • 財務コンサルタントや専門家のアドバイスを受ける


例えば、「キャッシュフロー経営」で成功している企業は、

  • 事業モデルを「サブスクリプション型」にすることで安定収益を確保
  • 売掛金の回収サイトを短縮し、現金を素早く確保
  • 無駄な投資を避け、資金の使い道を明確にする

といった戦略を取っています。

 


 

5. まとめと行動の呼びかけ

資金繰りを改善するためには、単にコストを削減するだけではなく、経営者のマインドセットを変えることが重要です。


本記事のポイントをおさらい

  • 資金繰りが悪化する企業の共通点を理解し、同じ失敗を避ける
  • キャッシュフロー経営を最優先にし、会計上の利益よりも「現金」を意識する
  • 未来を見据えた財務計画を立て、資金ショートを防ぐ
  • 金融機関との関係を強化し、必要なときに資金調達できる体制を整える
  • 社員の財務意識を高め、組織全体で資金繰りを改善する


資金繰りの改善は、企業の存続に直結する重要な課題です。しかし、適切なマインドセットと実践的な対策を取り入れることで、資金の流れを健全にし、安定した経営を実現できます。


💡 「自社の資金繰りをもっと強化したい」「具体的な財務戦略を相談したい」という方は、ぜひ専門家にご相談ください。
当社では、経営者の皆さまが安心して事業を運営できるよう、財務戦略のサポートを行っています。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

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