資金繰り改善 NO10
【金融機関の融資について その6】
銀行からの返済が厳しくなり、「リスケジュール(リスケ)」についてご検討されている中小企業の経営者もいらっしゃることと思います。返済負担を軽減し、事業の安定を図るために、リスケは非常に有効な方法です。しかし、どのタイミングでどのようにリスケを依頼すべきか、またその後の経営改善計画についてお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今回は、リスケの仕組みや進め方、そして申請の際のポイントと注意点を詳しくご説明します。この内容をお読みいただき、「自社にとってリスケが有効かもしれない」「具体的な進め方を相談したい」とお感じになりましたら、ぜひ私たちにご相談ください。最適な資金計画の提案や銀行との交渉サポートを通じて、経営の安定化を全力でお手伝いします。
●リスケジュールとは?そのメリットと目的
リスケジュール、通称リスケとは、金融機関に依頼して既存の融資の返済条件を見直し、返済負担を軽減してもらうことです。予定通りの返済が難しくなった場合、リスケによって毎月の返済額を減らすことができ、経営資金に余裕を持たせることで事業の立て直しを図ります。
(リスケの主なメリット)
・資金繰りの改善
リスケにより返済額を減らすことで、手元に残る現金が増え、資金繰りが安定します。毎月の返済負担が軽減されれば、日々の経営資金に余裕が生まれ、従業員の給与支払いや事業運転資金が確保されやすくなります。
・経営リスクの軽減
リスケによりキャッシュフローが改善され、短期的な経営リスクが軽減されます。資金が足りず急な資金調達に奔走する必要がなくなり、安定した事業運営が実現します。
・信用リスクの回避
返済が遅れてしまうと金融機関との信用が損なわれるだけでなく、延滞情報が信用情報機関に登録される可能性もあります。リスケを事前に申請することで、こうした信用リスクを未然に回避できる点も大きなメリットです。
(リスケジュールの主な方法)
リスケには、以下のような具体的な方法があり、企業の状況や金融機関の判断に応じて適用されます。
1. 返済期間の延長
返済期間を延長して、毎月の返済額を減らす方法です。例えば、5年の返済期間を10年に延長することで、1回あたりの返済負担が軽くなります。返済期間を長く設定することで、無理のない返済計画が立てられるため、短期的な経営改善が見込まれる場合に効果的です。
2. 元金据え置き
一定期間、元金返済を停止し、利息のみを支払う方法です。例えば、1年間は利息のみを返済し、その間に経営改善や売上回復を図るなど、短期的な資金繰り改善に適しています。元金返済が減ることで、返済の負担を軽減し、資金に余裕を持たせることができます。
3. ボーナス返済の停止または削減
ボーナス期に返済している分を削減したり、停止したりする方法です。ボーナス返済を行わないことで、年間の返済総額が減り、資金繰りに余裕を持たせられます。この方法は、季節によって収入が変動する事業に向いており、計画的な資金運用が可能になります。
(リスケジュールの流れ)
リスケを行う際の一般的な流れについてご説明します。
1. まずは金融機関に相談
返済が厳しくなると感じたら、まず銀行の担当者に早めに相談しましょう。リスケの申し出は、返済が滞る前に行うことが重要です。滞納が始まってからでは、信用が損なわれるだけでなく、リスケの審査も厳しくなることがあります。金融機関も、早期に相談があれば、前向きに検討してくれることが多いため、返済が苦しいと感じた時点で相談を始めましょう。
2. 必要書類の準備
リスケ申請時には、以下のような資料を求められることが一般的です。
・経営改善計画書:売上改善やコスト削減の計画などを具体的に記載した書類。
・財務資料:最近の決算書、貸借対照表、損益計算書などの財務状況を示す資料。
・キャッシュフロー計画:リスケ後のキャッシュフローを予測し、返済計画を示す書類。
これらの書類は、金融機関がリスケの必要性や経営改善の可能性を判断するために非常に重要です。
3. 審査とリスケの承認
金融機関は、提出された書類を基にリスケの可否を判断します。審査では、企業がリスケ後に返済を継続できるかどうか、また経営改善が見込まれるかが重要視されます。リスケが承認されると、新しい返済条件に基づき、返済が再スタートします。
4. 計画的な返済と信頼関係の維持
リスケが認められた後は、金融機関との信頼関係を維持するためにも、計画通りに返済を進めることが重要です。経営改善に努めながら、リスケ後の返済計画を確実に実行していくことで、金融機関との関係も安定し、再度の資金調達がしやすくなります。
(リスケジュールを依頼する際のポイント)
早期の相談がカギ 返済が厳しくなりそうだと感じたら、早めに金融機関へ相談を開始しましょう。返済が滞る前に相談することで、金融機関側も前向きに対応しやすくなります。特に、延滞が発生する前に行動を起こすことが重要です。
経営改善の見込みを具体的に示す リスケは、経営改善が見込まれる場合に金融機関が協力する措置です。売上回復の見込みやコスト削減計画などを具体的に説明できる経営改善計画書を提出することで、金融機関から信頼を得られます。改善計画には具体的な数値や実行時期を盛り込み、説得力のある内容にすることがポイントです。
複数の金融機関と連携する もし複数の金融機関から融資を受けている場合、リスケはメインバンクだけでなく、他の金融機関とも相談して進めることが重要です。特にメインバンクとの連携は、資金繰り改善に向けて大切ですので、全体の返済計画を共有しながら進めると良いでしょう。
(リスケジュールの注意点)
信用情報への影響 リスケを行うと、信用情報機関に「条件変更」として記録される可能性があります。これにより、他の金融機関からの新規借入が制限される可能性があるため、リスケの影響について事前に確認し、必要であれば今後の資金調達に影響しないよう対策を検討することが大切です。
返済計画の遂行 リスケはあくまで一時的な措置であり、最終的には返済を継続する必要があります。リスケ後も、確実に返済を続けるとともに、経営改善を進めることで、事業の健全化を図ることが求められます。リスケによって得られた資金の余裕を経営改善に活用し、返済を計画的に進めることがポイントです。
経営改善が難しい場合の選択肢 リスケでの経営改善が見込めない場合には、事業再生や業態転換も視野に入れることが重要です。場合によっては、事業の一部売却や再編、法的な再生手続きの検討が必要なこともあります。リスケが最適な方法かどうか、経営状況に応じて専門家と相談しながら判断することが重要です。
(ご相談いただける内容)
リスケの手続きを検討しているが「自社にとって最適な方法がわからない」「どのように金融機関と交渉を進めれば良いか」とお悩みの方は、ぜひ私たちにご相談ください。具体的なリスケの手順や、金融機関への効果的な交渉方法、リスケ後の経営改善計画についてサポートいたします。
(ご相談いただける内容の一例)
・リスケを行う際の具体的な方法やメリット・デメリットの解説
・必要な書類の準備や、経営改善計画書の作成サポート
・金融機関との交渉方法や、複数の金融機関との調整サポート
・リスケ後の経営改善計画策定とキャッシュフロー管理のアドバイス
リスケジュールは一時的な負担軽減の手段ですが、適切に活用することで経営の安定化と成長を目指すことができます。経営者の皆様が安心して事業運営に集中できるよう、最適なサポートを提供いたしますので、どんな小さなご相談でも、お気軽にお問い合わせください。