NO112【生命保険 その3(定期保険)】

2025/01/24 10:00:00 - By zaimclinic
資金繰り改善 NO3
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【生命保険 その3(定期保険)

定期保険とは?

定期保険は、一定期間(契約期間)内に死亡または高度障害状態になった場合に保険金が支払われる生命保険の一種です。契約期間が終了すると保障が消滅し、満期保険金は支払われません。そのため、貯蓄性がなく、純粋な保障を提供することに特化しています。

今回は、定期保険のメリットやデメリットを実例を交えて解説し、専門家に相談することの重要性についても触れていきます。

(記事中に登場する人物の名称は、すべて仮名です)




定期保険のメリット


1. 保険料が安い

定期保険は、一定期間だけの保障を提供するため、保険料が割安です。同じ保障額を他の保険商品(終身保険や養老保険)で得る場合に比べて、家計に与える負担を軽減できます。

実例:

山田さん(35歳)は、家族のために1,000万円の保障を用意したいと考え、定期保険と終身保険を比較。終身保険の月額保険料は2万円でしたが、定期保険では5,000円で同額の保障が得られることが分かり、定期保険を選択しました。


2. 短期間のリスク対策に最適

定期保険は、子どもの養育期間や住宅ローンの返済期間など、一定期間だけ高額な保障が必要な場合に適しています。

実例:

田中さん(40歳)は、子どもが大学を卒業するまでの15年間を見据え、2,000万円の定期保険に加入。子どもが独立した後は保障が不要になるため、長期的な保険料負担を避けられました。


3. 柔軟な契約期間の選択が可能

契約期間を5年、10年、15年など自由に設定できるため、自分のライフプランに合わせた保険設計が可能です。また、保険期間が満了する前に更新できる商品も多く、柔軟性があります。

実例:

高橋さん(50歳)は、10年ごとに契約を更新できる定期保険に加入。家族の経済状況に応じて保障額を調整することで、適切な保障を維持しています。


4. 特約の追加が可能

定期保険には医療保険やがん保険などの特約を追加できる商品が多く、保障内容をカスタマイズできます。

実例:

佐藤さん(45歳)は、定期保険にがん特約を付け加え、万が一がんと診断された場合に保険金が支払われるように設定しました。




定期保険のデメリット


1. 貯蓄性がない

定期保険は保障に特化しているため、解約返戻金や満期保険金がありません。保険料を支払った分が戻らない点で貯蓄型の保険と比較されることがあります。

実例:

鈴木さん(30歳)は、20年間の定期保険に加入しました。満期を迎えた際に、支払った保険料の総額200万円が戻らないことに不満を感じ、貯蓄性のある保険を検討するようになりました。


2. 保障期間終了後に無保障となる

契約期間が終了すると保障が消滅します。そのため、高齢になってから新たに保険に加入する場合、保険料が高額になることがあります。

実例:

山本さん(60歳)は、若い頃に加入していた定期保険が満期を迎え、再加入を検討しましたが、年齢による保険料の高さに驚き、保険料負担を見直す必要がありました。


3. 保険料が年齢とともに上昇する場合がある

更新型の定期保険では、更新ごとに保険料が上がる場合があります。これは、年齢が上がるにつれてリスクが増加するためです。

実例:

小林さん(40歳)は、10年更新型の定期保険に加入しました。50歳で更新する際、保険料が30%上昇し、家計に負担を感じるようになりました。


4. 長期的な保障が難しい

定期保険は、短期間の保障に特化しているため、生涯を通じた保障が必要な場合には不向きです。

実例:

佐々木さん(35歳)は、家族のために終身的な保障を希望していましたが、定期保険では契約終了後に保障が消滅するため、終身保険を選び直しました。




定期保険の税効果

定期保険には以下のような税効果があります。


1. 生命保険料控除の適用

定期保険の保険料も生命保険料控除の対象となります。これにより、所得税や住民税の負担を軽減できます。

実例:

高橋さん(40歳)は、年間10万円の保険料を支払っています。生命保険料控除を利用することで、所得税と住民税を合わせて年間1万5,000円の税負担を軽減することができました。


2. 相続税の非課税枠

死亡保険金は、相続税の計算上、法定相続人1人あたり500万円まで非課税となります。これにより、大きな遺産がある場合でも税負担を軽減できます。

実例:

鈴木さん(65歳)は、相続税対策として5,000万円の定期保険に加入。法定相続人が3人の場合、1,500万円が非課税となり、相続税負担を軽減することができました。




専門家に相談する重要性


定期保険はシンプルな商品に見えますが、契約期間や更新条件、特約の選び方などで選択肢が多岐にわたります。専門家に相談することで、以下のようなメリットが得られます。


1. 最適な保険設計が可能

専門家は、契約者のライフプランや経済状況に基づき、最適な保険設計を提案します。特に、必要な保障額や期間の設定を明確にすることが重要です。

実例:

田中さん(30歳)は、子どもの教育資金を目的に5年間の定期保険を検討していましたが、専門家の助言により、15年間の保障が必要であることが分かり、適切な商品を選択できました。


2. 契約内容の詳細な確認

保険商品には多くの条件や例外が含まれるため、専門家の助言を受けることで、契約内容の誤解を防ぐことができます。

実例:

佐藤さん(40歳)は、契約時に特約の内容を十分に理解しておらず、後に不要な特約を削除することで保険料を削減できました。


3. 税効果の最大化

生命保険料控除や相続税対策の面で、専門家の助言を受けることで、税負担を効果的に軽減できます。

実例:

高橋さん(50歳)は、専門家の提案で死亡保険金の非課税枠を最大限活用する設計を行い、相続税負担を大幅に軽減しました。


4. 長期的なサポート

保険契約はライフステージに応じた見直しが必要です。専門家は、定期的に契約内容を見直し、適切なアドバイスを提供します。

実例:

山本さん(45歳)は、専門家の助言を受けて保障額を家族構成の変化に合わせて調整しました。




まとめ


定期保険は、短期間の保障をリーズナブルな保険料で提供する商品であり、特に子育て世代や一定期間だけ保障が必要な人にとって有効な選択肢です。しかし、貯蓄性がなく保障期間終了後に無保障となる点や、更新時の保険料上昇リスクなどのデメリットも存在します。

専門家に相談することで、ライフプランや経済状況に応じた最適な商品を選び、保障内容を適切に設計することが可能です。特に、税効果や長期的な見直しを考慮することで、効率的な保険の活用が期待できます。

自分に合った保険を選び、家族の安心を確保するためにも、専門家のアドバイスを受けながら慎重に検討を進めましょう。

 


 

定期保険による税効果について

 

1. 生命保険料控除

定期保険の保険料は、所得税と住民税の計算上、生命保険料控除の対象となります。この控除を活用することで、税負担を軽減することが可能です。

控除額の計算

  • 新契約(平成24年1月1日以降の契約)
    • 所得税:年間支払保険料の最大控除額は4万円。
    • 住民税:年間支払保険料の最大控除額は2.8万円。
  • 旧契約(平成23年12月31日以前の契約)
    • 所得税:年間支払保険料の最大控除額は5万円。
    • 住民税:年間支払保険料の最大控除額は3.5万円。

節税効果の例

山田さん(40歳)が年間保険料10万円の定期保険に加入した場合、以下の控除が適用されます。

  • 新契約の場合、所得税で4万円、住民税で2.8万円が控除対象となり、実際の税金軽減額は約6,000円(税率10%の場合)となります。



2. 死亡保険金と相続税

定期保険で支払われる死亡保険金は、原則として相続税の課税対象となります。ただし、「法定相続人1人あたり500万円」の非課税枠が設けられています。

非課税枠の適用

  • : 相続人が3人の場合、500万円×3人=1,500万円が非課税となります。
  • 非課税枠を超える部分についてのみ、相続税が課税されます。

実例: 鈴木さん(60歳)が、法定相続人3人を指定し、5,000万円の死亡保障がある定期保険に加入していた場合、1,500万円が非課税となり、残りの3,500万円に対して相続税が課税されます。

保険金を活用した相続税対策

死亡保険金は、現金として遺族に直接渡されるため、相続税の支払い資金に充てることが可能です。多額の資産を持つ家庭で特に有効な方法です。




3. 一時所得の課税(解約返戻金がある場合)

定期保険には通常、解約返戻金がありませんが、一部の特約付き商品では返戻金が発生することがあります。その場合、解約返戻金が支払保険料総額を上回る部分は「一時所得」として課税されます。

課税計算

  • 一時所得 = 解約返戻金 - 支払保険料総額 - 50万円(特別控除)
  • 一時所得の1/2が課税対象となります。

実例: 田中さん(50歳)が、支払総額300万円の定期保険を解約し、解約返戻金350万円を受け取った場合:

  • 一時所得 = 350万円 - 300万円 - 50万円 = 0円
  • このケースでは課税は発生しません。



4. 贈与税が適用される場合

保険契約の形態によっては、死亡保険金が受け取人に「贈与税」として課税される場合があります。

贈与税が適用されるケース

  • 保険料負担者、被保険者、受取人が異なる場合(例:父が保険料を支払い、母が被保険者、子どもが受取人)。
  • この場合、受取人(子ども)は贈与税の課税対象となります。

贈与税の計算

贈与税には年間110万円の非課税枠があります。非課税枠を超える部分に対して贈与税が課税されます。




専門家の活用

税効果を最大限活用するためには、契約時に保険料負担者、被保険者、受取人を適切に設定することが重要です。専門家に相談することで、以下のようなメリットが得られます:

  • 非課税枠を最大限活用する契約設計。
  • 贈与税や相続税の課税を避ける方法の提案。
  • 解約時の一時所得課税についての事前確認。



まとめ

定期保険には、生命保険料控除や相続税の非課税枠などの税効果があります。一方で、契約形態や商品設計によっては、贈与税や一時所得課税のリスクも伴います。

適切な契約設計を行うためには、専門家の助言を受け、税制をしっかり理解することが重要です。これにより、保険を効率的に活用し、税負担を軽減しながら家族の安心を確保することができます。

 

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