NO13【信用保証協会 その2】

2024/11/24 13:58:56 - By zaimclinic
資金繰り改善 NO13
資金繰り改善 NO13

【信用保証協会 その2

銀行が信用保証協会を利用させる本当の理由とは?中小企業の経営者が知るべき「保証付き融資」のメリットとリスク

多くの中小企業経営者にとって、銀行からの融資は事業を支える重要な資金源です。しかし、特に融資が難しいと感じる中小企業やスタートアップにおいては、銀行から「信用保証協会の保証付き融資」を勧められるケースが多く見られます。

この信用保証協会付き融資は、確かに銀行から融資を受けやすくなる手段です。しかし、「銀行がなぜ保証協会を利用するのか?」という本質について、どれだけの経営者が理解しているでしょうか?「通例だから」「他の企業も利用しているから」といった理由だけで選ぶと、後々の経営に大きな影響を与える可能性があります。

本記事では、銀行が信用保証協会を利用する理由とそのメリット・デメリットを徹底解説し、経営者が自社にとって最適な融資手段を判断できるような知識を提供します。これを機に、自社にとってどのような融資が最適かについて、ぜひ再検討してみてください。


●信用保証協会付き融資とは?

信用保証協会付き融資とは、銀行が企業に融資を行う際、信用保証協会が保証人として保証を提供する制度です。この保証を得ることで、企業が返済できなくなった場合に、保証協会がその借入金の80%から100%を銀行に肩代わりして支払います。

つまり、銀行にとっては保証協会付き融資は「リスクが低い」融資の形態であり、返済が困難な場合でも大部分を保証協会がカバーしてくれるため、銀行の損失リスクが大幅に軽減されます。このため、信用力が低い中小企業でも融資を受けやすくなるわけです。


(銀行が信用保証協会を利用させる5つの理由)

銀行が保証協会付き融資を積極的に利用させるのには、以下のような理由があります。

1. リスクの低減

銀行にとって企業への融資は常に返済リスクを伴いますが、保証協会付き融資はそのリスクを大幅に低減する手段です。万が一、企業が返済不能になった場合でも、保証協会が借入金の大部分を肩代わりするため、銀行にとっては「安全な貸出」になります。特に中小企業の場合は、大企業に比べて業績が不安定なことも多いため、銀行は保証協会を活用して融資リスクを軽減しています。

2. 融資の拡大と収益性の向上

保証協会付き融資は、銀行にとってリスクが低いため、多くの中小企業に融資を提供しやすくなります。中小企業向けの融資案件が増えることで、銀行の収益源である「利息収入」が安定して増加し、収益性が向上します。保証協会が提供する保証は銀行側からすれば「担保のような役割」を果たすため、安定した収益を見込めるのです。

3. 審査プロセスの効率化

銀行は企業の信用力や返済能力を詳細に評価する必要がありますが、保証協会が保証を行う場合、その審査を保証協会が関与するため、銀行側の与信管理が効率化される場合があります。信用保証協会の審査基準や情報を活用することで、銀行は融資判断をスムーズに行えるため、結果として銀行の審査コストの削減にもつながります。

4. 地域経済への貢献と社会的責任

銀行は地域経済の発展や中小企業の支援という社会的な役割も担っています。信用保証協会と連携して中小企業に融資を行うことは、地域の中小企業を支援し、地域経済の活性化を助ける取り組みです。銀行が保証協会付き融資を通じて地域貢献を果たすことで、社会的な信用や地域の信頼を得ることができます。

5. 信用保証協会との提携による銀行ブランドの向上

保証協会との提携を強化することで、銀行としてのブランド力も向上します。信用保証協会との信頼関係を築くことで、地域の企業や他の金融機関からの信用も増し、銀行の地位や影響力を高める一助となります。


(信用保証協会付き融資のメリット)

信用保証協会付き融資には、銀行だけでなく中小企業側にもいくつかのメリットがあります。以下はその代表的なものです。

1. 借入がしやすくなる

企業の信用力が十分でない場合でも、信用保証協会の保証がつくことで銀行は融資をしやすくなります。これにより、中小企業は資金調達の機会を得やすくなり、事業の成長や安定的な経営のための資金を確保しやすくなります。

2. 安定した資金繰りが可能に

保証協会付き融資は長期返済が可能なケースも多く、月々の返済負担が軽減されるため、安定した資金繰りを実現できます。これにより、企業は経営の柔軟性を保ちつつ、返済スケジュールを管理しやすくなります。

3. 事業の信頼性が向上する

銀行との取引が成立することで、企業としての信頼性も向上します。信用保証協会の保証を受けること自体が、事業としての信用力の証明となり、取引先や仕入先からの信頼が高まることも期待できます。


(信用保証協会付き融資のリスクとデメリット)

一方で、保証協会付き融資にも注意が必要な点があります。以下は代表的なデメリットとリスクです。

1. 保証料がかかる

信用保証協会付き融資を受ける際には、保証協会に保証料を支払う必要があります。この保証料は融資額の1%~2%程度ですが、融資額が大きくなると保証料も大きな負担になります。保証料は返済負担と合わせて、企業の利益を圧迫する可能性があるため、慎重に判断する必要があります。

2. 返済能力以上の借入リスク
保証付き融資は、企業の信用力以上の借入が可能になるため、過剰な債務を抱えるリスクがあります。保証協会が肩代わりしてくれる安心感から、返済計画を見誤ると資金繰りが逼迫し、最終的に経営が苦しくなる可能性もあるため、安易な借入は避けるべきです。

3. 信用力が成長しにくくなる
信用保証協会付き融資に依存しすぎると、企業の信用力が自然に育つ機会が失われ、いつまでも保証がなければ資金調達が難しい状態が続いてしまうことがあります。財務の健全化を図り、信用力を高めて自社の力で融資を受ける努力も重要です。


(保証協会付き融資以外の選択肢も検討しよう)

保証協会付き融資は、中小企業にとって非常に便利な手段ではありますが、必ずしも唯一の選択肢ではありません。以下のような資金調達手段も視野に入れてみましょう。

1. 無保証のプロパー融資

信用力を高めることで、無保証のプロパー融資を受けられる可能性もあります。これにより、保証料の負担をなくし、より効率的に資金を運用できます。企業の信用力が増すことで、将来的にさらに良い条件で融資を受けるチャンスも広がります。

2. 資本性劣後ローン
資本性劣後ローンは、元本返済を一定期間猶予することができ、企業の資本として扱われます。これにより、財務体質の改善と資金調達を同時に実現できるため、中長期的な成長を図りたい企業に適した選択肢です。

3. クラウドファンディングや投資型ファンディング

新商品や新規事業の開発においては、クラウドファンディングを利用することで負債なしで資金を確保する方法もあります。投資家や支援者からの資金調達により、事業の認知度向上にもつながります。


(まとめ:本当に「保証協会付き融資」が自社に最適かを見極めよう)

信用保証協会付き融資は、資金調達が難しい中小企業にとって有効な手段です。しかし、「通例だから」「銀行に勧められたから」といった理由だけで選ぶことは避けるべきです。保証料や将来の返済負担、信用力の成長機会など、さまざまな要素を考慮し、保証協会付き融資が自社にとって本当に最適かどうかを見極める必要があります。

もし、融資手段や資金調達について疑問があれば、ぜひ専門家に相談してみてください。自社にとって最も有利な選択肢を見つけ、安定した経営を実現するための一歩を踏み出していただければと思います。