NO156【資金繰りが苦しい時の資金調達 その2】

2025/03/08 10:00:00 - By zaimclinic
資金繰り改善 NO3
資金繰り改善 NO156

【資金繰りが苦しい時の資金調達 その2】

 

銀行に頼らない!資金繰りを改善する代替資金調達方法選

中小企業の経営者にとって、資金繰りの改善は常に重要な課題です。多くの企業が銀行融資を頼りにしますが、審査が厳しく時間がかかることもあります。そこで、本記事では銀行に頼らずに資金繰りを改善できる代替資金調達方法をつ紹介します。


1. ファクタリング(売掛債権の現金化)

ファクタリングとは、売掛債権を専門の業者に売却し、早期に資金化する方法です。特に、取引先からの入金サイトが長い場合に有効です。


ファクタリングの種類 ファクタリングには主に以下の2種類があります。

1.2社間ファクタリング

o企業(売掛債権の保有者)とファクタリング会社の間で取引が行われる

o売掛先に通知せずに資金調達が可能

o手数料は高め(515%程度)

2.3社間ファクタリング

o企業、ファクタリング会社、売掛先の3者間で取引が行われる

o売掛先の承諾が必要

o手数料は低め(15%程度)


ファクタリングの利用手順

1.売掛債権の洗い出しとファクタリング会社の選定

2.必要書類の提出(請求書、取引契約書など)

3.ファクタリング会社による審査(売掛先の信用力を重視)

4.売掛債権の買取契約締結

5.早期資金化(契約後13営業日程度で入金)

6.売掛金の期日到来後、売掛先が支払いを実施


メリット

·売掛金の早期現金化により資金繰りを改善できる

·借入ではないため、負債にならず信用情報に影響を与えない

·取引先の信用力が高ければ審査が通りやすい


デメリット

·手数料が発生する(相場は売掛金の210%)

·与信審査があり、売掛先の信用力に左右される

·2社間ファクタリングは手数料が高くなる傾向がある

  

2. クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上で多くの人々から資金を募る方法です。特に新規事業や革新的なプロジェクトに適しています。


クラウドファンディングの種類

1.購入型クラウドファンディング

o支援者がプロジェクトに資金を提供し、対価として商品やサービスを受け取る

o例:CAMPFIREMakuake など

2.寄付型クラウドファンディング

o支援者が見返りを求めずに資金を提供

o社会貢献型のプロジェクトに適している

3.投資型クラウドファンディング(株式型・貸付型)

o企業が投資家から資金を募り、株式や配当を提供

o例:FUNDINNO(株式型)、クラウドクレジット(貸付型)


クラウドファンディングの成功のポイント

1.魅力的なプロジェクトの企画 - ユーザーの関心を引くストーリーや目的を明確にする

2.魅力的なリターンの設定 - 支援者が喜ぶ特典を提供

3.プロモーションの実施 - SNSやメディアを活用して認知度を向上

4.信頼性の確保 - 企業やプロジェクトの透明性を担保し、支援者の信頼を獲得


メリット

·返済不要の資金を調達できる(リターン型の場合)

·企業や商品の認知度向上に役立つ

·支援者とのコミュニティを形成できる


デメリット

·魅力的なプロジェクトでないと資金が集まりにくい

·プラットフォーム手数料がかかる(520%程度)

·目標金額に達しないと資金を受け取れない場合がある

 

3. ベンチャーキャピタル・エンジェル投資家からの資金調達

スタートアップ企業や成長性のある事業に対し、投資家から資金を提供してもらう方法です。特に、企業や革新性の高いビジネスモデルを持つ企業に適しています。

 

資金調達の流れ

1.事業計画の策定 - 投資家を説得できる魅力的なビジネスモデルの作成

2.投資家の選定とアプローチ - 自社の業界や成長ステージに適した投資家をリサーチ

3.ピッチ(プレゼンテーション) - 投資家向けに資金用途や成長戦略を説明

4.投資契約の締結 - 出資比率や条件を明確にして契約を締結

5.資金の受領と事業拡大 - 調達した資金を活用して成長戦略を実行


メリット

·大きな資金調達が可能

·経営のノウハウやネットワークを活用できる

·事業の成長を加速できる


デメリット

·株式を譲渡するため経営の自由度が低下する

·厳しい成長目標を求められることがある

·投資家の意向に左右される可能性がある

 

4. 補助金・助成金の活用

政府や自治体が提供する補助金や助成金を活用することで、資金調達が可能です。例えば、「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」などがあります。


代表的な補助金・助成金

1.ものづくり補助金 - 新技術・新製品開発を支援(上限1,000万円)

2.小規模事業者持続化補助金 - 販路開拓や業務改善を支援(上限200万円)

3.IT導入補助金 - ITツールの導入を支援(上限450万円)

4.事業再構築補助金- 業態転換・新分野展開を支援(上限1億円)


申請のポイント

·事業計画を明確にする - 審査員が納得できる具体的な計画を作成

·締切を厳守する - 申請期間が決まっているため早めの準備が重要

·過去の採択事例を調査する - 採択率を高めるため成功事例を参考にする

·専門家に相談する - 申請書類の作成や審査対策のサポートを受ける


メリット

·返済不要の資金を得られる

·事業の成長や設備投資の支援が受けられる

·企業の信用力向上につながる


デメリット

·申請手続きが煩雑で、審査に時間がかかる

·採択率が低い場合がある

·交付までに時間がかかるため即時の資金調達には不向き

 

5. 社内リソースの見直し(コスト削減・資産売却)

資金調達ではなく、社内の資産を活用する方法も有効です。例えば、遊休資産の売却やコスト削減による資金確保が挙げられます。


コスト削減の具体策

1.固定費の見直し

oオフィス賃料の削減(小規模オフィスへの移転、シェアオフィス活用)

o光熱費の削減(LED照明への切り替え、電力会社の見直し)

o人件費の最適化(業務の自動化、時短勤務の導入)

2.業務の効率化

oRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入

oクラウドサービスの活用(経理・労務管理のデジタル化)

o業務フローの見直しと無駄の排除

3.外注・アウトソーシングの活用

o非コア業務(経理、カスタマーサポート、物流など)を外部委託

oフリーランスの活用による人件費の最適化

4.サブスクリプションサービスの見直し

o使用頻度の低いソフトウェアやツールの契約解除

o必要最小限のプランへの変更


資産売却の活用法

1.遊休資産の売却

o使っていない機械や設備をオークションサイトやリース業者を通じて売却

o不動産の売却・賃貸による資金調達

2.在庫の圧縮

o不良在庫のセール販売や買取業者への売却

o需要予測を活用した適正在庫管理

3.社用車の売却やリース化

o社用車を売却し、カーシェアリングやリース車両の活用でコスト削減

o社員の交通費精算制度を見直し、効率的な移動手段の導入

4.知的財産の活用

o特許や商標権のライセンス供与による収益化

o技術やノウハウを他社と提携し、共同事業化


メリット

·即時の資金確保が可能

·経営の効率化が図れる

·長期的なコスト削減につながる

·不要なリソースを有効活用できる


デメリット

·売却資産がない場合、実施が難しい

·過度なコスト削減は業務の質低下につながる可能性がある

·短期的な効果にとどまり、根本的な経営改善にならないこともある

 

まとめ

銀行融資に頼らずに資金調達を行う方法は多岐にわたります。自社の状況に合わせて最適な方法を選択し、資金繰りを改善しましょう。

1.短期的な資金確保

oファクタリングは売掛債権を早期現金化できるため、資金繰りの急場をしのぐ手段として有効

oクラウドファンディングはプロジェクト型の資金調達に適し、支援者との関係構築にもつながる

2.中期的な資金戦略

oベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの資金調達は成長資金を確保できるが、経営の自由度が制限される可能性もある

o補助金・助成金の活用は返済不要の資金調達手段だが、申請手続きや審査に時間がかかるため計画的な準備が必要

3.長期的な経営改善策

o社内リソースの見直しによるコスト削減は即効性があり、持続可能な経営の安定につながる

o資産売却や知的財産の活用は、企業の財務基盤を強化し、安定した収益構造を作る手助けとなる

これらの手法を組み合わせることで、企業は柔軟な資金調達戦略を構築し、資金繰りの安定と成長を両立できます。自社の状況を正しく分析し、最適な方法を選択することが成功への鍵となります。