NO22【銀行に資金需要を事前に伝えておく】

2024/11/27 12:01:45 - By zaimclinic
資金繰り改善 NO2
資金繰り改善 NO22

【銀行に資金需要を事前に伝えておく】

銀行に資金需要を事前に伝えておく重要性と具体的な実践方法
中小企業の経営者にとって、「資金繰り」は会社を存続させるための生命線です。しかし、突発的な資金需要が発生した際に、銀行からの融資がスムーズに受けられないケースがよく見られます。その原因は、「事前準備の不足」にあります。本記事では、中小企業が資金繰りで失敗しないために、銀行との連携を強化する具体的な方法を詳しく解説します。

1. なぜ銀行に資金需要を事前に伝える必要があるのか?

銀行に資金を借りる場合、審査や決裁には一定の時間がかかります。

一般的には、以下の流れで融資の手続きが進みます。


(銀行での融資手続きの一般的な流れ)

・融資申し込み

会社が銀行に資金需要を伝え、必要書類を提出します。

・審査

銀行が会社の経営状態、資金使途、返済能力を調査します。

・稟議(りんぎ)

審査結果を基に銀行内部で融資の承認手続きを行います。

・決裁、着金

承認が下り次第、融資金額が口座に振り込まれます。

通常、このプロセスに2週間~1か月程度の時間がかかります。

信用金庫や信用組合で、小規模な融資の場合は1週間程度で対応できることもありますが、これも例外的なケースです。


(急な資金需要に対応できない理由)

銀行は企業から急に「お金を借りたい」と言われても、迅速に動けないことが多いです。その理由は以下の通りです。

内部審査に時間がかかる 銀行は資金を貸す際、会社の返済能力を慎重に見極める必要があります。特に、会社の経営状態が不明確な場合、審査に時間がかかる傾向があります。

銀行の信用リスク管理 返済リスクが高いと判断される場合、銀行は融資を断るか、慎重に検討することになります。

経営者の管理能力に疑問を持たれる 慢性的な資金不足や事前準備がされていない急な融資依頼は、経営者としての資金管理能力が疑われる可能性があります。


2. 具体的な事前準備の方法

急な資金需要に対応するためには、事前に銀行との信頼関係を築き、自社の経営状態を定期的に報告することが大切です。ここでは、具体的な準備方法を解説します。

A. 月次試算表の提出

・月次試算表とは?

会社の経営状態を示す書類で、毎月の売上、利益、費用、資産、負債などをまとめたものです。これを銀行に定期的に提出することで、銀行側は会社の経営状況を把握しやすくなります。

(提出のメリット)

・銀行が会社の成長状況や財務健全性をリアルタイムで把握できる。

・突発的な資金需要が発生した際も、事前情報を基に迅速に対応してもらえる。

B. 資金繰り表の作成

・資金繰り表とは?

入金(売上、借入金など)と出金(仕入れ、経費、返済など)のタイミングを一覧化した表です。これにより、会社の資金が不足する時期を事前に予測できます。


(作成のポイント)

・過去の入出金データを基に予測を立てる。

・今後予定される大口取引や設備投資なども反映する。

・銀行との共有 資金繰り表を銀行に見せることで、資金需要のタイミングを事前に相談できます。


C. 面談の定期化

(月1回の面談を実施)

銀行担当者と定期的に会い、自社の経営状況や将来の資金需要について相談する習慣をつけましょう。

(面談で話す内容)

・現在の業績や課題。

・今後の資金計画(例:設備投資、新規取引への対応)。

・銀行が提供する最新の融資制度や補助金情報。


3. 万が一の備え:借入枠の確保

資金需要が発生する前に、あらかじめ銀行と「借入枠」を設定しておく方法も有効です。

・借入枠(コミットメントライン契約)とは?

銀行があらかじめ設定した一定の金額まで、必要に応じて資金を引き出せる仕組みです。これにより、緊急時でも迅速に資金調達が可能になります。

(メリット)

・予測不可能な資金需要に対応しやすい。

・突発的な支払いにも即座に対応可能。

(注意点)

・借入枠を設定するには、銀行との信頼関係が必要。

・未使用でも手数料が発生する場合があるため、慎重に判断する。


4. 資金繰り管理における経営者の心構え

資金繰りは、会社経営の根幹です。本業である営業や商品開発と同じくらい重要な業務として、時間を割くべきです。以下は、資金繰り管理を成功させるためのポイントです。

A. 日常的なキャッシュフローの把握

毎日の入出金状況を記録し、資金がショートしそうな時期を早期に察知する。

B. 長期的な資金計画の作成

年単位での資金繰りを考え、大口投資や返済計画を組み込む。

C. 借入を前提としない経営

資金繰りを健全化するため、以下を実施:

・売掛金の早期回収(入金サイトの短縮)。

・在庫を適切に管理し、過剰在庫を防ぐ。

・不要な経費を削減。


5. 成功事例:ある中小企業の取り組み

ケーススタディ:製造業A社の成功例

A社は、以下の取り組みを行いました:

・月次試算表と資金繰り表を銀行に定期提出

・担当者との信頼関係を強化。

・半年後の設備投資計画を事前相談

・担当者の助言で公的融資制度を活用し、低金利で資金調達。

・在庫管理を改善

・過剰在庫を削減し、キャッシュフローを向上。

結果:

・設備導入後、生産効率が30%向上。

・新規取引先の受注をスムーズに受け入れ、売上が10%増加。


(まとめ)

銀行に資金需要を事前に伝えておくことは、スムーズな資金調達のために欠かせません。そのためには、以下のポイントを押さえましょう。


(経営情報の定期共有)

月次試算表や資金繰り表を銀行に提出し、経営状態を透明化する。


(定期的な担当者との面談)

・面談を通じて、資金計画や経営方針を相談する。

・事前に備える意識を持つ

・借入枠の確保や日常的なキャッシュフロー管理を徹底する。

資金繰りの計画と銀行との信頼関係構築は、経営の安定と成長に直結します。忙しい中小企業経営者の方々も、ぜひこれらの方法を実践し、強い経営基盤を築いてください。