NO28【売れない在庫は早期に売却を】

2024/11/28 9:47:11 - By zaimclinic
資金繰り改善 NO2
資金繰り改善 NO28

【売れない在庫は早期に売却を】


中小企業にとって、資金繰りの管理は経営を安定させるための最優先課題です。その中で、売れない在庫が資金を圧迫する要因となっているケースは少なくありません。在庫は、仕入れや製造にかかった資金が形を変えて保管されている状態ですが、それが長期間売れないままであると、単なる「眠れる資産」になり、企業の経営を圧迫します。

売れない在庫を早期に売却することは、資金繰りを改善し、経営を健全化する有効な方法です。本記事では、売れない在庫を抱えるリスクと、それを早期売却するメリットについて、具体的な実例を交えながら解説します。


1. 売れない在庫を抱えるリスク

1-1. 資金が固定化される

売れない在庫は、仕入れや製造にかけた資金が回収されないまま倉庫に眠っている状態です。この資金が固定化されることで、運転資金の不足を引き起こす可能性があります。特に中小企業では、キャッシュフローが悪化すると、従業員の給与や仕入れ費用の支払いが困難になり、経営が停滞します。

実例:

アパレル業E社は、季節外れの商品在庫を保管し続けていました。その結果、500万円分の仕入れ資金が固定化され、新商品の仕入れ資金が不足。結果的に、販売チャンスを逃してしまいました。


1-2. 保管コストの増加

在庫は保有するだけでも、倉庫代、管理費、人件費などのコストがかかります。また、長期間在庫を保管していると、これらの維持コストが収益を圧迫します。

実例:

食品製造業F社では、売れ残った商品を冷凍保存していましたが、毎月30万円の保管コストが発生。これが利益を圧縮し、会社の収益性を低下させました。


1-3. 商品価値の低下

在庫には賞味期限や流行、需要の変化による価値低下のリスクがあります。特に食品や化粧品のように賞味期限が設定されている商品は、売れ残りが廃棄損となる可能性が高くなります。

実例:
化粧品販売業G社は、トレンドが過ぎた商品を大量に保有していました。1年後には価値が半分以下になり、廃棄処分を余儀なくされました。


2. 売れない在庫を早期売却するメリット

2-1. キャッシュフローの改善

在庫を売却することで、現金が手元に入ります。この現金を運転資金に充てることで、仕入れや従業員の給与支払い、新たな投資資金として活用することができます。

実例:

文房具販売業H社は、売れ残った商品を早期に値引き販売したことで、200万円の現金を確保。これを仕入れ資金に活用し、売れ筋商品を補充することで売上が10%増加しました。


2-2. 保管コストの削減

売れない在庫を売却することで、倉庫代や管理費が削減されます。これにより、間接的に経費を抑え、利益率を向上させることができます。

実例:
物流業I社では、保管スペースを圧迫していた古い部品在庫を一括処分。年間50万円の倉庫代を削減し、浮いたコストを新規顧客の獲得に投資しました。


2-3. 財務体質の健全化

売却した在庫を現金化し、借入金の返済に充てれば、負債を減らし財務の健全化を図ることができます。特に金融機関からの評価が向上し、次の融資を有利な条件で受けることが可能になります。

実例:
電子機器販売業J社は、長期間売れ残っていた在庫を業者に安価で売却し、得た資金で短期借入金を返済。自己資本比率を改善したことで、次回融資の金利を引き下げることに成功しました。


3. 売れない在庫を早期売却する方法

3-1. 値引き販売を実施する

売れ残った在庫は、値引き販売を行うことで短期間で現金化が可能です。特に季節商品や流行商品では、値引き販売が効果的です。

例:

アパレル業K社では、前年の冬物衣料をシーズン前に50%オフでセール販売。結果的に、在庫が一掃され、現金化に成功しました。


3-2. 業者への一括売却

在庫が大量にある場合は、専門の買取業者に一括売却する方法も効果的です。市場価値が低くなった在庫でも買い取ってもらえる可能性があります。

例:

文具メーカーL社は、不良在庫を専門業者に300万円で売却。倉庫スペースが空き、年間保管コスト50万円を削減しました。


3-3. オンラインプラットフォームの活用

不要在庫はオンラインマーケットやオークションサイトで販売することで、一般消費者や他企業に直接売却することができます。

例:
IT機器販売業M社は、型落ちのパソコンをオンラインオークションで販売。合計500万円を現金化しました。


4. 成功事例:食品製造業N社の売却例

(背景)

食品製造業N社では、需要予測のミスにより、大量の飲料在庫を抱えることになりました。これらの在庫は賞味期限が半年しかなく、通常販売では処分しきれないと判断されました。


(対応策)

・在庫の一部を50%オフで値引き販売。

・賞味期限が迫った商品を専門業者に一括売却。

・地元イベントで試飲販売を行い、直接販売も実施。


(結果)

・総額1,000万円の売れない在庫を早期に現金化。

・倉庫スペースを空け、新商品の保管に活用。

・値引き販売を通じて新規顧客を獲得。


5. 売却時の注意点

5-1. 市場価値を見極める

在庫の市場価値を正確に把握し、適切な売却価格を設定することが重要です。過度な値引きはブランドイメージを損なう可能性があるため注意が必要です。

5-2. 税務処理を確認する

売却益や在庫処分に伴う損失が発生した場合、税務処理を適切に行う必要があります。事前に税理士に相談することで、トラブルを防ぐことができます。

5-3. 売却後の計画を立てる

売却で得た現金をどのように活用するかを明確にし、経営の健全化や成長分野への投資に結び付けましょう。


6. まとめ

売れない在庫を抱え続けることは、企業の資金繰りを悪化させる大きな要因です。一方で、在庫を早期に売却することで、次のようなメリットが得られます:

・キャッシュフローの改善

・保管コストの削減

・財務体質の健全化

・経営資源の効率的な活用

在庫売却を成功させるには、市場価値の見極めや売却先の選定、税務処理の適切な実施が重要です。売却で得た資金を効果的に活用し、経営を安定化させましょう。実例を参考に、自社の在庫状況を見直し、迅速な行動を起こしてください。