NO33【高額な什器・備品購入時にリースを活用して資金繰りを改善する方法】

2024/11/30 16:27:21 - By zaimclinic
資金繰り改善 NO2
資金繰り改善 NO33

【高額な什器・備品購入時にリースを活用して資金繰りを改善する方法】


中小企業にとって、什器や備品といった高額な資産の購入は、経営の中で避けて通れない課題です。事業の成長や業務の効率化を目指すうえで、新たな設備や備品が必要になることはよくあります。しかし、これらの資産を一括購入することは、短期的に資金繰りを大きく圧迫する要因となり得ます。

こうした状況において、多くの中小企業が資金繰り改善の手段として活用しているのがリース契約です。本記事では、リースの仕組みやメリット、デメリットを解説するとともに、実際にリースを活用して成功を収めた中小企業の具体例を紹介します。さらに、リース契約を活用する際の注意点や他の資金繰り改善策についても詳しく取り上げます。


(リースとは?)

リースとは、リース会社が所有する設備や機器を、企業が一定期間借り受けて使用する契約です。リース期間中は企業が月々のリース料を支払い、契約終了後にはリース会社に返却するか、買い取るかを選ぶことができます。

一般的に、以下のような状況でリースが活用されます:

・高額な設備や什器(コピー機、製造機械、医療機器など)が必要な場合
・初期投資を抑えたい場合
・資産の保有リスクを回避したい場合


(リースの種類)

リースには主に以下の2種類があります。

1. ファイナンスリース
ファイナンスリースは、契約期間中にリース料を支払い続けることで、実質的に資産を購入するような契約形態です。契約終了時には設備を買い取ることも可能で、長期間使用する機器に適しています。

2. オペレーティングリース
オペレーティングリースは、一定期間利用することを目的とした契約です。契約終了後にリース会社へ返却する前提であり、短期的な利用や技術革新が早い分野での設備導入に向いています。

(リースを活用するメリット)

リースの利用には、以下のようなメリットがあります。

1. 初期投資を抑えられる
高額な什器や設備を購入する場合、一括で多額の費用を支払う必要があります。一方、リースを利用する場合、初期費用を大幅に抑え、月々の支払いに分割できるため、資金繰りが楽になります。

2. 資産保有リスクを軽減
設備を購入する場合、陳腐化や技術の進歩による価値低下のリスクを負う必要がありますが、リースではリース会社が資産を保有するため、企業はこうしたリスクを回避できます。

3. 節税効果が期待できる
リース料は全額を経費として計上できるため、節税効果があります。一方で、購入の場合は減価償却費として分割計上する必要があります。

4. 資金繰りの安定化
リース料は固定額であるため、月々の支出を予測しやすく、資金計画を立てやすくなります。

5. 最新の設備を導入しやすい
リース契約終了後に返却することで、常に最新の設備や機器を使用できる点もメリットです。


(リースを活用した成功事例)

A社:飲食業(従業員20名)

課題
A社は郊外に新店舗を開店する計画を立てていました。しかし、厨房設備や店内什器などをすべて新調する必要があり、総額800万円以上の費用が見込まれました。自己資金を投入する場合、他の運転資金に影響が出ることが懸念され、銀行融資の利用も検討しましたが、審査に時間がかかることが問題でした。

解決策
A社は、主要な厨房機器や店舗什器についてリース契約を利用することを決定しました。リース会社と交渉の末、月額約15万円のリース料で契約を締結しました。

結果

・初期費用を約200万円に抑えることができ、自己資金を開店準備や広告費に充てられました。
・資金繰りの見通しが立てやすくなり、営業開始後も安定した運営を実現しました。
・技術進歩が早い厨房機器をリースにしたことで、将来的な入れ替えもスムーズに対応可能となりました。


B社:製造業(従業員50名)

課題
B社は、新たな生産ラインを構築するために大型の製造機械を導入する必要がありました。しかし、購入費用は約3000万円と高額で、資金調達を行う場合でも多額の自己資金が必要でした。さらに、設備が陳腐化した際の売却リスクも懸念材料でした。

解決策
ファイナンスリースを活用し、5年間の分割払いで機械を導入。リース期間終了後に残価を支払って買い取るオプションも付加しました。

結果

・毎月のリース料支払いが計画的に行えたことで、他の運転資金に余裕が生まれました。
・設備導入による生産性向上で売上が前年比20%増加。
・陳腐化リスクを軽減し、経営リスクが分散されました。


(リース利用時の注意点)


リースには多くのメリットがありますが、契約前には次の点に注意が必要です。

1. トータルコストを把握する
リースは月々の支払いを抑えられる反面、トータルコストでは購入よりも割高になる場合があります。リース契約期間中に支払う総額を事前に把握しましょう。

2. 契約内容をよく確認する
契約解除時の条件や、残価設定がある場合の支払い義務などを確認し、不測の支出が発生しないように注意してください。

3. 購入と比較検討する
長期間利用する設備や、頻繁に使用する機器については、購入の方がコスト的に有利な場合もあります。購入とリースのどちらが適しているかを十分に検討することが重要です。

4. 節税効果の確認
リース料の全額経費計上ができるメリットを活用するために、税理士と相談し、節税効果を最大化する方法を検討しましょう。

5. リース会社の選定
リース料や契約条件はリース会社によって異なります。複数の会社から見積もりを取り、最適な条件を選ぶことが重要です。


(リース以外の資金繰り改善策)

リースは資金繰り改善の一つの手段ですが、他の方法と組み合わせることで、さらなる効果を得られます。

1. 融資の活用
低金利の融資を利用することで、大規模な設備投資も可能になります。リースと組み合わせることで、資金繰りを柔軟に管理できます。

2. 支払いサイトの延長
仕入先と支払い条件を交渉し、支払い期限を延長することで、資金の流出を後ろ倒しにできます。

3. 節税効果の最大化
税制優遇措置や補助金を活用し、導入費用を軽減する方法も検討しましょう。


(まとめ)

高額な什器や備品の導入に際して、リースを活用することは、中小企業にとって資金繰りを改善する有効な手段です。初期投資を抑えられるだけでなく、資産保有リスクの軽減や節税効果といった多くのメリットがあります。一方で、契約条件の確認やトータルコストの把握など、注意すべきポイントも存在します。

実例として紹介したA社やB社のように、リースを戦略的に活用することで、事業の成長を支える資金繰りの安定を実現できます。設備導入を検討している経営者の方は、ぜひリースの活用を選択肢に入れ、長期的な経営改善につなげてください。